既存の環境を捉え直し、新しい空間、新しい体験を構成する				
									
				
					岐阜県揖斐川町にある「春日森の文化博物館」は開館から25年以上が経過し展示物の老朽化に直面している。自然豊かな環境と展示空間の条件を活かした立体、音、映像で構成された新しい鑑賞体験と、ワークショップやスタンプラリーなど幅広い年代でも体験できる機会を提供した。				
			 
			
										
					 
							
				教員と学生とで数回にわたり館内の展示や周辺の森の散策を通じて、リニューアルするための条件や、歴史や文化、植生などの知識を深め、テーマを検討した。開館当初から常設されている金属フレームの迷路「探検ランド」は、10年ほど前から機材の老朽化にともない封鎖されていた。説明パネルを取り外しガラス越しに見える木々の見晴らしを活かし、透明フィルムを吊り下げた展示構成を検討した。木漏れ日、水面、生い茂る木々の形を抽象化し、直線、曲線、点などのパターンをフィルムや映像作品に配置した。緩やかな風によりパターンが角度を変え、干渉した像を作り出している。
展示空間で再生される音は、屋外から聞こえるせせらぎの周波数と調和する人工音をコンピュータから自動生成し、部分的に変化しながらも調和した視聴覚体験を構成した。

▲ 展示:リニューアル前

▲ 展示:リニューアル後
 
		
		
				
																	
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								連携先 春日森の文化博物館, 揖斐川町教育委員会 
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								連携期間 2021.06 - 2021.12 
目的と成果
																
						五感を揺さぶる体験へ拡張する展示空間(音?映像、インスタレーション)を構成したことで、封鎖されていた迷路(探検ランド)の空間の周囲や内部に鑑賞体験を提供した。
春日の長者の森の生き物たちをテーマにしたスタンプラリーは、来館した多くの子どもたちが館内を巡りながら楽しむ機会となった。ワークショップでは、葉の観察とフロッタージュによって形や葉脈を意識し、手から伝わる感触、色や匂い、配置を組み合わせた複合的な体験を提供し、博物館では葉の標本としてそれを展示した。
関連企画として、書、絵画、写真、映像の4名のアーティストによる展示や、野外コンサートのイベントも行われた。メディア(岐阜新聞、中日新聞、大垣ケーブル、岐阜放送)による取材効果もあり、会期期間中は約500名が来館した。
					 
																IAMASの役割
																
						
- 常設展示「探検ランド」のリニューアルによって、既存什器を活かしながら、空間を変容させるケーススタディの提案
- 春日の動物や昆虫をモチーフにしたスタンプラリーのデザイン?制作?設置
- 春日の草木による草木染めの布を使用したスタンプラリー用のぼりのデザイン?制作?設置
- 葉の採集からフロッタージュによる標本を作るワークショップの企画?実施
- 薬草を用いた食を通した交流の機会の創出
 
																					
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								開催場所 春日森の文化博物館 (岐阜県揖斐郡揖斐川町春日美束1902番地183) 
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								担当教職員 
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								運営 企画?インスタレーション?ワークショップ?映像:
 瀬川 晃 准教授
 
 企画?コーディネーション:
 金山 智子 教授
 
 撮影?設営:
 小林 孝浩 教授
 
 什器?設営:
 吉田 茂樹 教授
 
 ウェブ?スタンプラリー:
 工藤 麻里(M1)
 
 スタンプラリー:
 路 雨嘉(M1)
 
 ワークショップ:
 小林 玲衣奈(M1)
 
 サウンド?インスタレーション:
 林 暢彦(M2)
 
 関連プロジェクト:
 Community Resilience Researchプロジェクト
 
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								スケジュール 2021.06 リニューアルの相談+フィールドワーク+撮影
 2021.07 フィールドワーク+撮影
 2021.08 フィールドワーク+撮影
 2021.09 既存展示物の撤去
 2021.10 展示搬入+設営+調整, ワークショップの準備
 2021.11 今後の意見交換